子供がいない夫婦が相次いで亡くなった場合の相続手続を代理した事例
記載の解決事例は旧法事例となります。
事案の概要
- 子供がいない夫婦の妻が亡くなり、その1週間後に夫も死亡しました。
- 遺言は存在しません。
- 夫が死亡した時点では、妻の遺産分割は未了でした。
- 遺産は夫婦が居住していたマンションと預貯金、カードローンの負債がありました。
- 夫婦でお互いを受取人にした生命保険に加入していました。夫が加入していた生命保険は妻死亡後も受取人を亡くなった妻に指定したままでした。
- 遺産のマンションについては誰も使用所有する意思はなく、売却して金銭で分割することを希望していました。
事案の問題点
- 先に亡くなった妻に関する遺産分割が未了の状態で夫についても相続が発生したため、相続関係が複雑になっていました。
- 相続人は死亡した夫婦と別に生活をしていたため、遺産の詳細を把握していませんでした。
- 生命保険の受取人に指定されていた夫婦が共に死亡していたため、誰が受取人になるか、受領する生命保険金の割合がどうなるかが明らかでありませんでした。
- 相続人間の人間関係が希薄だったため(相続人は妻の両親、夫の兄弟)上記1~3の問題点を適切に把握して他の相続人に説明し、相続手続を主導する者がいませんでした。そのため、相続人間のコミュニケーションが不足し、感情的なもつれが生じかけていました。
対応内容
- 当職が相続人の代理人として遺産の調査を行い、調査結果を遺産目録にまとめてすべての相続人に開示しました。
- 上記1の調査結果をもとに、全相続人の相続分と生命保険金の受領金額を説明し、全相続人の了解を得ました。
- マンションについては、当職が代理人として仲介業者を選定し、売買契約の締結、決済へ同席をしました。
- 預貯金の解約、生命保険金の請求手続を代理人として行いました。
- マンションの売却代金、預貯金、生命保険金はすべて当職がお預かりし、全ての資産を金銭化した後、負債を弁済し、残額を各相続人に送金しました。
弁護士小池のコメント
この事案は、相続人間で利害の対立があり紛争化している事案ではありませんでしたが、相続が短期間で発生して手続が複雑になっている上に、相続人が遠方に居住しているため、相続人だけで相続手続を進めることが困難な事案でした。 また、相続人は最終的にはマンションを売却する意向でしたが、仲介業者の選定にも困っている状況でした。 そこで、当職が、遺産の調査、相続手続、相続人への手続の説明、不動産の相続手続、その後の売却手続、預貯金の解約、生命保険金の請求、負債の弁済、最終的な遺産の分配作業までを代理して行いました。 相続案件は、明らかな紛争案件のほかにも、手間や時間がかかることから相続手続が進まなくなり放置されている場合がありますが、この事案がまさにその典型でした。 弁護士を代理人とすることで相続手続の対応を任せるメリットは大きいと思われます。