相続人間での遺産分割協議をサポートし、納税資金を確保するための不動産売却の代理・相続税の減額を実現した事例
記載の解決事例は旧法事例となります。
事案の概要
- 相続人は、妻と子供4人でした。
- 遺産は預貯金の外、不動産が5筆(自宅のほか、マンション1棟、更地等)
- 相談を受けた時点で相続税の申告期限まで4ヶ月という状況でした。
事案の問題点
- 相続人間の人間関係が上手くいっていないこと、遺産に関する法律関係が複雑なため、相続人だけで遺産分割協議を行うことが困難と思われました。
- 他方、弁護士が相続人の代理人として遺産分割協議を行った場合、相続税の申告期限までに遺産分割協議を取りまとめることも困難と思われました。この場合、法定相続分で相続税を計算して申告・納付することになりますが、相続税の試算額が約3000万円に及び納税資金の確保が難しい状況でした。
- 遺産分割協議の結果いかんにかかわらず、納税資金を確保するために相続する不動産の一部を売却する必要がありましたが、より高額での売却と広大地評価による相続税の圧縮を両立させる必要がありました。
対応内容
- 相続税の申告期限との関係から当職が代理人として遺産分割協議を行うことはせず、依頼者の方に法的な問題点や取扱いを説明し、これを踏まえて遺産分割協議を行ってもらい、申告期限前に遺産分割協議が成立しました(協議を行う際の参考資料は当職が作成し、随時、打ち合わせを行いました)。
- 相続人間でおおむね遺産分割協議が整ったところで、当職が遺産分割協議書を作成し、他の相続人の方にも内容を確認してもらいました。なお、この事案では一歩間違えば相続が紛争化する恐れもありましたので、後日訂正・変更等が必要になることは望ましくありませんでした。そのため、遺産分割協議書案を作成時に税理士及び司法書士にも確認をしてもらい、相続税及び相続登記に際しても問題が生じないようにしました。
- 遺産分割協議書に署名・押印するため、相続人が実家に集まりました。この際、当職が同席して内容を説明した上で、署名・押印の手続を執り行いました(住所の記載が印鑑証明書の記載と異なっているため登記できない等のトラブルを防止するために確認作業を行う必要があります)。
- 遺産分割協議に基づき依頼者の方が取得した不動産を売却する手続を代理しました。この事案では、売却する土地の面積が広かったことから、仲介業者に入札方式での売却をしてもらいました。この結果、6社からの入札があり、入札以前に打診があった購入金額より3000万円程高額で売却が実現しました。
- また、上記⑤の売却に際して、相続税の申告時に広大地評価を適用できるように慎重に打ち合わせをして売却しました。これにより、相続税は2000万円程圧縮できました。
- 不動産の売却に関する売買契約の締結は、当職の事務所で行い、決済には当職も同席しました。
弁護士小池のコメント
この事例は、遺産分割協議をまとめる、相続税の圧縮、納税資金確保という3つの問題を解決する必要があり、比較的難易度の高い事案であったと思います。遺産に土地が多く含まれている相続の場合には、広大地評価による相続税の圧縮・入札による不動産の売却という方法の採用を検討する価値があると思われます。