遺言の有効性調査により遺言の効力への疑念を払しょくした上で、交渉により早期に遺留分を回収した事例

解決事例ダイジェスト

☑遺言の有効性調査で遺言に対する疑義を払拭

☑不動産の評価はコストをかけずに確定

☑交渉により早期解決を実現

 

事案の概要

相続関係

  • 被相続人:祖父
  • 相続人:長男の子(依頼者)、二男

遺産の内容

自宅土地建物と預貯金約2000万円

 遺言の有無

全財産を二男に相続させるとの内容の遺言公正証書が存在しました。

事案の問題点と対応内容

遺言の有効性に対する疑問

本件の遺言は公正証書で作成されていましたが、その作成時期に祖父は認知症に罹患していた可能性があること、依頼者の父である長男がなくなった直後に遺言が作成されたという経緯から、依頼者は遺言の有効性に疑問をもっていました。他方で、客観的な資料からみて、遺言は無効にならないのであれば受け容れるという考えであったことから、事実を知った上で対応を決めるという方針を採用し、遺言の有効性の調査を行うことになりました。

診療録、要介護認定資料等を収集した結果、遺言が無効なるような事情は見当たらなかったため、対応を遺留分の請求に一本化しました。

費用対効果を考慮した解決方法

本件では不動産が遺産に占める割合が高いため、その評価額の算定が遺留分額を左右する大きな要素でした。そのため遺産分割調停を申立てた上で、不動産鑑定を行うと選択肢もありましたが、依頼者としては鑑定費用をかけてまで争う遺産規模ではないとの考えを持っていたため、双方代理人が付いたことを契機に交渉で評価額及び遺留分の合意をしました。

早期解決の必要性

依頼者からは、遺留分は回収したいが、この事件に掛けられる時間的・金銭的コストは限定されていることから、早期に手続を進めたいとの明確な要望がありました。事案の内容も比較的シンプルでしたので、代理人間で柔軟に協議をすすめ、交渉段階で合意・解決となりました。

弁護士小池のコメント

本件は遺留分の交渉を始めてから2~3ヵ月程度で合意・解決に至った事案であり、弊所が扱う案件では最短の解決と言えるかもしれません。もともと、依頼者は遺言の効力に疑問を持っていたことから、有効性の調査を行うことにより、客観的な資料を確認できある種の割り切りができた様に思われます。

一旦紛争化すると、感情的な対立も加わり、紛争がエスカレートしてしまうことが多いなか、本件は冷静に事案に内容を見極めて、早期の解決に至っており、案件への対応の仕方が参考になる事例と言えます。ただし、本件の早期解決は代理人弁護士の力量というよりは、依頼者の見極めによるところが大きいと言えるでしょう。

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