遠方かつ多数の相続人から相続分譲渡を受け、遺産整理(アパートの売却・負債の整理)を行った事例

記載の解決事例は旧法事例となります。

1.解決事例ダイジェスト

《業務内容》遺産分割代理&遺産整理

☑ 相続分譲渡により相続人多数の遺産分割を処理

☑ 遺産調査により負債を確定した上で遺産整理を実行

☑ 相続したアパート(収益不動産)を代理して売却

 

2.事案の概要

(1)相続関係

本件は、兄弟相続(第1相続)発生後、第1相続の相続人の一人がなくなり、その子が相続人となった(第2相続)という数次相続の事案です。

ア 第1相続

被相続人:A

相続人:Aの兄弟及び甥姪合計15名

イ 第2相続

被相続人:B(Aの弟)

相続人:Bの子3名(弊所依頼者)

(2)遺産の内容

第1相続の遺産は、AとBが同居し、A死亡後はBが住んでいた不動産(本件不動産)であり、第2相続は、Bの預貯金とAの相続に関するBの相続分でした。

(3)遺言の有無

いずれの相続についても遺言はありませんでした。

(4)その他

本件不動産は築50年以上の木造の自宅兼賃貸アパートでありかなり老朽化が進んでいること、Bの死亡により管理者がいなくなり、火災や建物の損傷による事故が危ぶまれる状況でした。

3.事案の問題点と対応内容

(1)依頼者と他の相続人間に全く面識がないこと

 兄弟姉妹が相続人になる場合の典型ではありますが、本件も兄弟姉妹が相続人であり、更に、弊所の依頼者は、被相続人の弟の子供であるため、他の相続人とは全く面識がありません。

そこで、弊所が代理人として、他の相続人に対し、AとBの生前の生活状況、現在の法律的な状況、相続分の経済的価値、相続人としての法的義務等を整理した文書を送付して、相続分譲渡の交渉をしました。

その結果、全相続人から相続分の譲渡を受けることができ、第1相続は解決しました。

(2)遺産の調査

の現状調査第2相続については、第1相続の交渉と同時並行で遺産調査を行いました。依頼者らは、Bとあまり交流がなかったため、遺産の状況を把握しておらず、Bの死後、借入金の督促状がなどが届き多額の負債があるのではないかとかなり心配していました。

そこで、預貯金、負債、不動産の価額調査などを行い、不動産を売却をすれば、現金ベースで資産超過になることを確認し、不動産売却を視野にいれた遺産整理を行うことにしました。

(3)自宅兼賃貸アパートの売却と賃借人との退去交渉

第2相続の遺産は預貯金額が少なかったため、遺産整理がうまく進むかは、自宅兼賃貸アパートの売却ができるか否かにかかっていました。自宅兼賃貸不動産の売却に関しては、確定測量、農地転用等の費用がかかり、また、賃借人退去の見通しが立たないと売却がおぼつかないなど問題が山積の状況でした。

他方、依頼者先行しての費用負担は避けたいとの要望であったことから、確定測量・農地転用の費用を買主負担として契約交渉をすすめ、賃借人の退去の見通しが立った時点で契約と代金決済を行いました。

4.弁護士小池のコメント

本件は、第1相続は多数の相続人の処理、第2相続では不動産の売却が主要な問題でした。相続分譲渡をお願いする際、相続人として遺産分割により権利を取得するとの意向を示されることがありますが、この場合は、物件の管理費用の負担、損壊等による損害賠償のリスクがあること等のマイナス面も十分に説明することで無償譲渡を了解してもらえることがあります。いずれにしても相続分譲渡においては、正確な情報を提供することが重要です。

第2相続では、アパートの売却になるため買主との間で敷金の処理も忘れずに確認んしておく必要があります。

本件では、アパートの売却に関しては、不動産業者である買主と協力しながら対処したことが功を奏したと思われます。その意味では、物件について情報が乏しい相続物件の場合、買主と協力関係を築けるか否かの見極めが通常の売買よりも重要になってくると思われます。

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