自筆証書遺言の検認手続を弁護士が代理し、その後の相続手続を処理した事例
記載の解決事例は旧法事例となります。
解決事例ダイジェスト
☑ 検認申立から検認期日の対応まで全て弁護士が代理
☑ 検認終了後、速やかに預貯金の解約を弁護士が実行
☑ 相続登記・相続税申告も弁護士が専門家を手配
事案の概要
相続関係
①被相続人:依頼者の叔母
②相続人:被相続人の妹A、妹B、甥C、姪D
③受遺者:被相続人の姪E(妹Aの長女)
遺産の内容
遺産は自宅土地建物及び預貯金(3金融機関)でした。
遺言の有無
自筆証書遺言(全財産をEに相続させる)
事案の問題点と対応内容
兄弟相続の事案のため戸籍の収集が煩雑であること
本件は、兄弟相続の事案であり、一部の兄弟はなくなっており、代襲相続により甥姪が相続人になる事案でした。
そのため、親子の相続とは比較にならないほどの大量の戸籍を取り寄せる必要があり、その作業が非常に煩雑になる事案でした。
そこで、相談段階で戸籍収集に非常に手間がかかる点をご説明し、戸籍の収集を含めて検認申立てまで弊所で受任することで、速やかに検認申立てに繋げました。
検認期日への出頭の負担
本件の依頼者は、平日フルタイムで勤務されており、また、時期的に業務繁忙期にあたっていたため、検認期日への対応することが難しい状態でした。
そこで、検認期日には、裁判所と調整の上、弁護士のみが出頭することで、対応しました。
相続人への事情説明
検認申立がなされると、裁判所から、全相続人に対し、検認申立がされた旨が文書で通知されます。また、検認期日には、全相続人が出席する権利があります。
そのため、検認の申し立てをすると、期日前に依頼者に相続人から問合せ(時にはクレーム)があり、検認期日でも他の相続人からいろいろと質問がされることがあります。
本件でも、検認期日での相続人への対応やその後の問合せなどは、全て弁護士が対応して処理しました。
預貯金の解約、相続登記・相続税申告の処理
本件では、遺言の検認後、速やかに預貯金の解約を行いました。また、不動産の相続登記や相続税申告が必要な事案であったことから、弊所が司法書士や税理士を手配して処理しました。
弁護士小池のコメント
本件は、自筆証書遺言の検認からその後の相続手続、関連する相続登記・相続税申告の関係で、司法書士と税理士を手配して相続手続全体を処理した事案です。特に紛争性があるわけではなく、淡々と手続を処理することで解決する点で、紛争案件とは性質がことなります。
相続手続の代行は、弁護士の独占業務ではなく、司法書士・税理士も手掛けておりますので、弁護士への依頼が必須ではありませんが、家庭裁判所でおこなわれる検認期日への代理人としての出頭や同席は弁護士しか認められておりませんので、この点は注意が必要です。
また、相続手続は、煩雑な事務処理になりますので、資料準備・段取りの組み方などは、経験により差が出ます。依頼先の選定の際は、どの士業かという観点に加え、処理実績も重要になります(相続手続に不慣れな弁護士よりも、手慣れた司法書士・税理士の方が処理が速いということは良くあります)。
本件は取り立てて珍しい論点はない、一般的な検認から相続手続を代理した案件です。揉めない相続に関する一般的処理のモデルケースとして参考になると思われますのでご紹介いたします。