相続により共有になっていた不動産について、共有者各人が弁護士を代理人にして共同売却した事例

解決事例ダイジェスト

☑ 共有者それぞれが弁護士を代理人にして円滑に不動産売却を実現

☑ 売却時点までの固定資産税等、ローン支払いも書面を作成して清算

☑ 不動産の仲介業者の選任やその後のやり取りも弁護士が一元管理

 

事案の概要

(1)当事者及び財産関係

本件で売却対象となった不動産(マンション)は、相続によって、甲と乙が父親から相続して共有するに至ったものです(甲と乙は兄弟)

(2)紛争に至る経緯

マンションを共有後、甲と乙はマンションの管理・運用の方針について意見がぶつかってしまい、人間関係まで悪化してしまいました。そこで、当時独身だった乙がマンションのローンを支払う代わりに、自宅として利用することになりました。固定資産税等の管理費用については特に取り決めはしていませんでしたが、乙が支払っていました。

その後、乙は10年程マンションに住んでいましたが生活環境が変わったこともあり、甲にマンションの売却を持ち掛けたところ、甲は弁護士を代理人にしたので、今後は弁護士と話を進めて欲しいと連絡してきました。

事案の問題点と対応内容

(1)乙が弁護士を代理人にする必要があるか

本件は甲が弁護士を代理人にしたため、乙から弊所に相談がありました。乙によると、甲の代理人弁護士から、「乙も弁護士をつければ売却に協力する」と言われたとのことでした。

共有不動産を共同で売却する場合、共有者双方が弁護士を代理人にしなければならないというルールがあるわけではありませんが、一方が弁護士を代理人にすると、弁護士と他の共有者の間で売却に関する知識・経験に開きがあり協議が円滑に進まないことがあります。また、一般の方は日中仕事をしていることが多いため、業務として事件処理をしている弁護士とは処理スピードがあわないという問題もあります。

そのため、共有者双方の処理レベルを合わせるため、双方が弁護士を代理人として売却を進めるということが実務的には多いように思われます。

本件でもこのような事情を当職から乙にご説明して、受任することとなりました。

(2)ローン及び固定資産税等の処理

ローンについては、相続でマンションを取得後、甲の分も含めて乙が支払をしてきました。甲乙間では、『ただで住んでいいからローンは支払っておいて』という口頭のやり取りがあったようです。もっとも、売却にあたり、毎月のローン支払額と賃料相当額を検証したところ、ローンの支払額が大幅に賃料相当額を上回っていたことがわかりました。その上、乙は固定資産税等も支払っていたため、乙の負担が過大ではないかとの問題が浮上しました。

この点は、事前に書面等で明確な取り決めがされていないため、扱いが難しいところですが、当事者間で率直にバランスを修正する方向で協議し、結論として売却代金からローンを支払い、残額は乙が取得することになりました。なお、本件は売却代金が購入代金を下回ったため譲渡所得税が課税されない事案でしたが、譲渡益がでる場合は、甲の譲渡所得税は乙が負担する等の手当をしないと後日トラブルになる恐れがあるため注意が必要です。

以上の合意内容は代理人間で書面化し、双方当事者に共有しました。

(3)不動産仲介業者の管理

本件ではマンションの売却を早期に進めたいとの乙の意向により、5社程度の不動産仲介業者と一般媒介契約を進めている状況でした。売却チャンネルを増やすのは悪いことではありませんが、手続を進めるにあたり、5社の担当者からそれぞれ連絡が入るため、対応が非常に手間がかかり乙も持て余している状況でした。

そこで、弊所が各社との連絡方法等を電話以外の方法(メール・FAX)とし、かつ連絡の窓口になることで、事務連絡の導線を整理しました。

(4)最終的には相当価格での買付が入り、滞りなく売却・代金清算となりました。

弁護士小池のコメント

本件は人間関係に問題がなければ、共有者が一緒に不動産仲介業者に依頼して簡単に売却ができる事案ですが、人間関係が悪いだけで途端に売却の難易度があがってしまうのが共有不動産の大きなリスクと言えます。

この大変さは実際に経験しないと分かり難いため、周囲に相談すると『ただ売るだけでしょ?簡単なんじゃない?』などと言われて悩んでしまう方も多い様です。本件は一見簡単に見える共有不動産の売却が難しさを理解する一助になると思われますのでご紹介いたします。

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