共有持分権者がそれぞれ代理人弁護士を選任して共有不動産を共同売却した事例
解決事例ダイジェスト
☑ 共有不動産の円滑な売却のために共有者全員が代理人弁護士を選任
☑ 代理人弁護士間で協議し、売却条件・仲介業者を一本化
☑ 境界確認・越境問題も代理人弁護士間で対応方針を統一
事案の概要
本件は相続により共有取得した不動産を共同で売却した事案です。今回売却の対象となった不動産は過去の相続により共有となり、その後、売却されることになりました。
事案の問題点と対応内容
(1)当事者の関係性
共有者間では過去の相続に関して民事訴訟を提起したという経緯や一部相続人は半血兄弟ということもあり、当事者間で協議することは事実上困難な状況でした。
そこで、最初に共同売却を持ち掛けた方から他の共有持分権者に対し、売却に関する情報提供をすると共に、代理人弁護士を選任するように働きかけた結果、早期に各共有持分権者が代理人弁護士を選任して共同売却に取り組むことになりました。
(2)売却条件及び不動産仲介業者の統一
上記のとおり共有持分権者全員に代理人弁護士がついたことから、売却のプロセスを代理人間で協議し、本件では売却条件を事前に合意した上で、同じ不動産仲介業者に仲介を依頼することにしました。
本件のように共有者間の関係が悪い共有不動産の売却の場合、他の共有持分権者と同じ不動産仲介業者に依頼することを嫌がる方も多く、実際、仲介業者の対応に濃淡があることも珍しくないため、共有持分権者が個別に不動産仲介業者を選任することが多い様に思われます。
もっとも、本件は共有持分権者が5名であり、隣地との境界問題や塀・樹木等の越境問題、売却部分の分筆など対応する問題が山積みだったため、同じ不動産仲介業者を選任して売却を進めることとしまいた。なお、選任前には各代理人が仲介の担当者と面談し中立性を確認しております。
(3)境界問題・越境問題の解決
本件の土地は4名の所有者と隣接しており、塀や樹木等の越境問題がありました。これらの問題は売却活動を開始する前に現地確認を行った際に、各代理人・不動産仲介業者で共有し、対応方針を事前に統一しておきました。そのため、買主が決まり、契約後決済までの期間における是正等の対応についても、事前の方針を実行することに集中できたため、比較的スムーズに解決しました。
弁護士小池のコメント
本件は共有者が多数の上、各種問題が山積みの案件であり、各共有持分権者に代理人弁護士がつかないと現実的には売却手続が進まないと思われる事案でした。共有権者間で具体的な紛争が生じているわけではありませんが、共有不動産の売却には細かい手続を大量に処理することが要求されるため、本人が対応すると対応しきれずに手続が止まってしまい、これを契機に共有者間で感情的な対立が生じることがあります。
本件は、各共有持分権者が代理人弁護士を選任することにより、共有不動産を円滑に売却した事例として類似事案の参考になると思われます。