令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。
弁護士法人Boleroの弁護士小池智康です。
今回は、相続登記の義務化の問題を取り上げたいと思います。
相続が発生したにもかかわらず、相続登記がされないまま放置された結果、現在の所有者が不明になっている土地が存在することが、近年問題になっており、その解決策として、相続登記が義務化されることになりました(令和3年4月21日「民法等の一部を改正する法律」(民法等一部改正法、令和3年法律第24号)。
この相続登記の義務化は、令和6年4月1日から施行されることになっています。
《参考》東京法務局:改正情報 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000275.html
そのため、これ以降は、不動産の登記名義人が亡くなったときは、この相続により不動産を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記等をする義務を負うことになります。
従前は、相続登記の義務がないため、相続人間で遺産分割の話がまとまっても、登記費用を節約するために相続登記をしないことも多く、後日、当事者の相続人が亡くなってから、事情を知らないその子供との間で紛争化してしまうこともありました。
また、逆に相続人間で遺産分割の意見が合わないため話し合いがまとまらず、他方で、調停等による解決もなされないまま事実上話合いが棚上げになった結果、相続登記がされないままになっている事例もあります。
今回の相続登記の義務化により、円満な相続において相続登記がされるようになると共に、遺産分割に関する意見の齟齬が顕在化する事例も増えてくると思われます。
相続登記はその前段階の遺産分割協議と不可分の関係にありますので、相続登記でお困りの場合は、弁護士に相談されることをご検討ください。