代償分割と支払能力

遺産分割審判で代償分割が選択される場合代償金の支払い能力は担保されるのでしょうか

私は、現在、兄を相手方にして、遺産分割審判手続を行っています。審判官は、兄が被相続人の自宅である土地建物に従前から同居し、相続開始後も居住していること等から、代償分割により、兄に自宅土地建物を取得させることを考えているようです。審判官の考えもわからないではないのですが、兄はそれほど資力があるわけではないので、本当に代償金を支払ってもらえるか心配です。代償分割の審判がされる場合、兄の資力は調べてもらえるのでしょうか?

代償分割の要件である「特別な事由があると認められるとき」には、代償金の支払い能力も含まれており、支払能力についても審理されるのが通常です

遺産分割審判において、家庭裁判所は、特別の事由があると認めるときは、遺産分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて現物をもってする分割にかえることができる(家事事件手続法195条)とされ、代償分割という分割方法が認められています。

特別の事由とは、一般的には、①相続財産が細分化を不適当とするものであること、②共同相続人間に代償金支払いの方法によることについて争いがないこと、③当該相続財産の評価額について相続人間でおおむね意見が一致していること、④代償分割により相続財産を取得する相続人に代償債務の支払い能力があることをいうとされています。

上記の④の支払い能力に関しては、通常、支払能力があることを裏付ける資料を提出させ、審判書においても支払能力を明らかする必要があるとされています。

したがって、ご質問の事案の代償分割においても資力の確認は行われるはずですのでご安心ください。

参考判例 最決平成12年9月7日

家庭裁判所は、特別の事由があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて、現物をもってする分割に代えることができるが(家事審判規則109条)、右の特別の事由がある場合であるとして共同相続人の一人又は数人に金銭債務を負担させるためには、当該相続人にその支払能力があることを要すると解すべきである。
これを本件についてみると、原審は、抗告人相沢順子に対し、原決定確定の日から6箇月以内に、相手方らに総額1億8822万円を支払うことを命じているところ、原決定中に同抗告人が右金銭の支払能力がある旨の説示はなく、本件記録を精査しても、右支払能力があることを認めるに足りる事情はうかがわれない。
 

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