借地権と内縁関係

内縁の夫の借地権を内縁の妻は相続することはできますか

先日、内縁関係にあった夫が亡くなりました。内縁の妻である私は、内縁の夫が契約していた自宅の契約(借家権)を相続できますか?

内縁関係の場合、相続権はないので借地権を相続することはできません。

内縁の妻は、内縁の夫の借家権を相続することはできません。もっとも、内縁関係にある場合は、法定相続人が相続した借家権を内縁の妻が援用することで自宅に住み続けることはできます。

内縁の妻は、法定相続人でない以上、相続により借家権を取得することはできません。しかし、内縁関係のもと、自宅で同居生活をしていた内縁配偶者が相続発生により自宅から退去しなくてはならないという結論は妥当性の点で問題があります。そこで、判例上、内縁配偶者は、借家権を援用して居住を継続できるとされています。

もっとも、内縁配偶者は、あくまで援用できるに過ぎないため、借家権を相続した相続人が賃料を支払わなかった等により賃貸借契約が解除された場合は、立退きを余儀なくされます(解除の前提として、借家権を援用している内縁配偶者に賃料支払の催告をする義務はないとされています。)。そのため、実際の事案の処理としては、借家権を援用して居住を継続できることを足掛かりに、内縁配偶者が賃貸借契約を承継するように交渉すべきです。

参考裁判例 最判昭和42年2月21日 民集21巻1号155頁

原判決(引用の第一審判決を含む。以下同じ。)が確定した事実関係のもとにおいては、上告人A1は亡Dの内縁の妻であって同人の相続人ではな いから、右Dの死亡後はその相続人である上告人A2ら四名の賃借権を援用して被上告人に対し本件家屋に居住する権利を主張することができると解すべきである(最高裁昭和三四年(オ)第六九二号、同三七年一二月二五日第三小法廷判決、民集一六巻一二号二四五五頁参照)。しかし、それであるからといつて、上告人A1が前記四名の共同相続人らと並んで本件家屋の共同賃借人となるわけではない。したがつて、Dの死亡後にあっては同上告人もまた上告人A2ら四名とともに本件家屋の賃借人の地位にあるものというべきであるとした所論原判示には、法令の解釈適用を誤った違法があるといわなければならない。

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